日本計算機統計学会 第22回大会(秋田)
平成20年5月22日(水) - 23日(木)
秋田市文化会館
特別講演(22日)の背 景の理解のため の参考資料[02_s1]

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訂正

『米粒と米粒を互いに摺り合わせて表面を研く』という方法は,少なくとも酒造りにおける現在の精米とは『無縁』な方法でしたので,ここに訂正します.

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精米のこと
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structure_kome 

糠と胚芽の部分は麹菌が糖質に変させる対象とならないだけでなく,雑味などの原因になる.アルコール醗酵に供される糖に変化するのは胚乳の部分にある.

そこで,糠や胚芽分を含まない胚乳の部分をできるだけ効率よく取り出す「精米」が求められる.
玄米の粒同士を互いに擦らせて糠の部分を取り除く方法は古くから用いられていた精米法であるが,相当量の発熱を伴う他に,精米歩合(白米のその玄米に対す る重量の割合)の限度がある.80%(20%を取り除く)が限界だと云われている.これでは,雑味の原因を取り除くまでには至らない.

昭和に入り(1930年),内部に一種のヤスリの役目を持たせた工夫を取り入れた精米機(縦型精米機)が発明され,従来の精米度の限界が克服された.
  日本酒の種別  精米歩合(想定)
  普通種      - 73〜75%程度
  本醸造酒     - 70%以下
  純米酒      - 70%以下
  特別本醸造酒   - 60%以下
  特別純米酒    - 60%以下
  吟醸酒      - 60%以下
  大吟醸酒     - 50%以下
などに必須の雑味のない「贅沢な日本酒」に必要な条件が整ったことになる.

然し,「精米歩合(重量割合)だけが日本酒の「質」を決める訳ではない」こともある方から指摘を受けた.
普通は精米歩合を上げると,形状が「○」に近い形状になり,本来は残すべきところも削りとられることになる.これでは「勿体ない」.そこで,最近では玄米 の形状に相似形となるような研き方を追求する研究もあり,実用化されているとの教示を得た(ヤスリの種類や精米の速度などを調整して実現).

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放冷のこと
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「精米後に熱をとるために放冷する」ことについても,同じ方から指摘を受け た.
熱をとることも理由の「一つ」ではあるが,本当のところは別なところにあるという教えを受けた.
精米過程の熱で精白米の本来の水分が失われるので,本来の「湿度/水分」に調整する(「調湿」)という『隠れ技』が理由とのことである.
続く,「蒸し米」の工程の出来如何が精白米の水分に依存しているようで,この精米から調湿までの過程は『高度な秘匿技術』であるとの指摘であった.



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